『逆ソクラテス』のネタバレなし感想！伊坂幸太郎先生著の”逆転”する短編集
こんにちは🦑
本屋に積まれ、新聞でも何度も広告が出てた小説『逆ソクラテス』を読んだので感想を書きます。ずっと気になっていたのですが、中々読む時間が取れなかったので、眠れぬ夜に一気見しました。
小説の感想をここで書くのははじめてですが、久しぶりに面白い小説と感じたので、気になっている方は「どんな本かなー」くらいの気持ちで見て頂けると幸いです。
こんな人におススメ
・サクッと読めてスカッとする短編が読みたい人
・身近な場所で起こるミステリーを読みたい人
１篇ごとに紹介していきたいと思いますので、よければ続きから🦑↓
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逆ソクラテス
自分は完璧で間違うはずがないという雰囲気を持つ久留米先生は主人公の同じクラスの友人、草壁をどんくさいヤツと見下していた。転校生の安斎はそんな様子を見て、誤った先入観を持っている久留米先生に一泡吹かせようと画策する。ー何かを決めつけるような発言をされた時にはこう返せ。「ぼくは、そう思わない」－
ソクラテスと言えば無知の知。自分が知らないということを知っている、という概念をもつ哲学者。安斎はこれを踏まえ、何でも知っている風の傲慢な久留米先生を『逆ソクラテス』と呼びます。
単に出来ない生徒が、先生を見返してスッキリ、という話にとどまらない、少年の成長を垣間見ることが出来ます。最後の”逆転”はうれしくもあり、寂しくもあり…。
スロウではない
くじ引きで運動会のリレーチームが結成された。運悪く、そのチームは主人公含め運動が出来ない子ばかりの集団に。転校生、高城カレンの提案する練習をもとに奮闘する６人。しかし、成績優秀なスポーツマンの同級生、渋谷亜矢のいじわるが度々入り…。ラストまで読まないと分からない、スロウではないの意味とは？
どこの学年にも一人はいそうな女子、渋谷亜矢VSリレーBチームの闘い。努力と友情の”逆転”劇のような話にも見えますが、後半あるキャラの立ち位置がひっくり返るのが面白い。女子って怖い…と思わせるような話でした。
非オプティマス
オプティマスプライムはトランスフォーマーに登場するキャラクター。普段はトレーラーの姿だが、いざという時は変形して敵と戦う。
久保先生は元気がなく気弱で、クラスのペンケースをわざと落として大きな音を立てる生徒たちにも満足な説教が出来ていなかった。主人公といつも同じ服を着ている転校生、福生は双方にうんざりしており、ペンケースを落として授業の邪魔をさせないようにクラスメートの弱みを握ろうとする。
５編のなかでもっともスカッとする話かもしれません。タイトルのオプティマスはいざという時は、かっこよく姿を変えて闘うヒーローだが『非』とはどういう意味か？最後の”逆転”は日常で生きる指標になり得ることかも…
アンスポーツマンライク
小学生のバスケチームの５人は高校生になっても付き合いの続く仲だった。最後の試合、相手チームの選手に足を引っかけたとみなされ、アンスポーツマンライク（スポーツマンとしてふさわしくない行い）を取られた駿介は未だにそのことを引きずっていた。５人は小学校のバスケチームの顧問のお見舞いの帰りに、ある事件に遭遇する。
この顧問の先生は本誌で何度か登場しますが、小粋なセリフを何度も呟いてくれます。タイトルは特に変わったこともなく、直球なスポーツ用語。ネガティブな意味でしか取られないのですが…言葉の捉え方が”逆転”する不思議でさわやかな感覚を覚える話でした。
逆ワシントン
ワシントンは桜の枝を折っても正直に話すことで許してもらえたという逸話。主人公の母親はよくその例を持ち出し、正直で真面目であるようにと諭していた。
ある日主人公の友達、靖が学校を休んだ。家を尋ねるとバツが悪そうに靖の継父に追い返されてしまう。ひょっとして新しい父親に虐待でもされているのでは？靖を救うべく主人公たちはある行動に出る。
ワシントンの逆ならば正直者でなく、嘘つきとなりますが…？はたして嘘つきはいたのでしょうか。善や悪について考えさせられる話でした。最後まで先入観や思い込みを”逆転”してくれる〆のお話。読後はスッキリとした気分となること間違いなしです。
以上、『逆ソクラテス』の感想でした。
最初は短編集ということすら知らず、分厚い重厚なミステリーものという先入観があったのですが、気づいたら１篇、また１篇と流れるように読めてしまう本でした。
書店の目立つところに置いてありますので、ぜひ手に取ってください～🦑
ではでは🦑
